1988年10月1日に東宝系で公開された、アニメ『きまぐれオレンジ☆ロード』(1987)の劇場版。まつもと泉の原作によりコミカルなオリジナル要素を付加したテレビ版は、主題歌の「ナイトオブサマーサイド」(この間の『今日は一日 アニソン三昧』でも流れた)でも有名であり、ファンの賛否両論を受けながらも人気を博した。ゆえに劇場版も制作決定となり、監督には最終話で絵コンテ・演出などを担当した望月智充を迎えた。望月智充はテレビ版以前にもジャンプVIDEOとして制作されたOVA(超がつく程の激レア)の監督も担当していたため、作品自体とは長い付き合いだったと言えるだろう。背景にもテレビ版の二倍の努力が注がれたらしい。
しかしながら肝心の劇場版では、コミカルな雰囲気は一掃され、終始重苦しい会話、泣き腫らし叫ぶひかる、三角関係の終焉…と、テレビ版の積み重ねたものを倒壊させる出来となった。無論原作者からは酷評、ファンの間でも黒歴史扱いされ、そのためかシリーズで唯一DVD化されていない。(ので僕はフランス盤DVDを買った)ファン層以外からも「史上最凶の鬱アニメ」と呼称されることもある。対して、作品の完成度や演出の巧妙さ、声優の演技力の高さも眼を見張るものがあり、初期の望月智充作品として注目されることも少なくない。また、僕のように原作やテレビ版のダルさに嫌気が差した人間にとって「これこそが素晴らしき結末だ」とも感じさせるものでもあり、主人公・恭介役の古谷徹も「恭介の行動に共感した、一番好きなエピソード」と絶賛している。
こういった「原作レイプ、でも出来は良い」アニメでは他に、押井守監督の『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』が他に有名作として挙げられるだろう。(これと『あの日にかえりたい』との関係は多分無いが)
まず、原作での設定を述べ、その後パンフレットに掲載されているストーリーを引用する。
原作者は劇場版のストーリーを「原作のパラレルワールドとして考えてほしい」としている。
恭介はまどかのことが好きであるが、ひかるはそのことを知らず、恭介と恋人気分でいる。一方、勇作はひかるが好きであるが、当のひかるからは無視されている。この組み合わせと超能力が織り成すドタバタコメディで物語は展開されていく。マンガでの終わり方は、まどかがアメリカに旅立った後、帰ってきて恭介と付き合う。
2月下旬、恭介とまどかは、バイクを飛ばしていた。今日は、恭介とまどかの大学入試の合格発表がある。大学構内を歩きながら、恭介はある声にふり返った。「私の出るお芝居、見に来て下さいね!」それは去年の夏の初め、ひかるが恭介に言った言葉だった。恭介は思い出す。
その夏、ひかるは、卒業生を送る芝居に出演しようと、オーディションを受けていた。合格したひかるは、恭介に報告に行った。二人だけの部屋。「私、何かもっとしてあげられること…ないかな…」そう言ったひかるの唇は、恭介の唇と合わさっていった。ひかると恭介の間に何かあった。まどかはひかるの嬉しそうなようすから、そう直感していた。よそよそしくなったまどかとは対照的に、ひかるは、恭介にますます接近、恭介もまどかのことが気にかかりながら、ひかるの恋人ぶりを断り切れず、受け入れていくばかりだった。
祭りの日がやってきた。浴衣姿で、ひかるは編物を教えてもらいにまどかの家にやってきていた。まどかが、恭介とひかるのことが原因で予備校の夏期講習を欠席しているとは、ひかるは気付いていない。だが、編み棒を取りにまどかの部屋に入ったひかるは、そこにあった恭介の写真から、まどかの恭介への気持ちに気づいてしまった。それでも明るくふるまうひかる。夜、ひとりきりの部屋で、まどかは浴衣に着替えた。まどかは思い余って、恭介に電話した。「春日くん…会いたい」恭介はまどかの家にバイクをとばし、玄関でまどかを抱きしめ、立ちつくしていた。恭介の気持ちは決まり、ひかるを公演に呼び出すと、まどかを好きなこと、ひかるとはもう会えないと、告げた。ひかるが電話をしても恭介は絶交を告げる。家を訪ねても、冷たく無視。ある夜、思いつめた表情で、ひかるが恭介を訪ねてきた。芝居の主役に選ばれたから、チラシを持ってきたのだ。だが、恭介はひかるを力づくで振り払った。「私は…一体なんだったんですか?」「答えてよぉーーっ!」恭介の捨てたチラシが、絶叫とともに風に飛ばされていく。雨の中恭介を待つひかるを、恭介は隠れてやり過ごすばかりだった。
恭介とまどかは合格した。その日、恭介がついに見ることのなかったひかるの新しい幕が、ついに開いた。
イ:今回の劇場版では、特に原作やTVシリーズ版にあった恭介の”能力”が全く使われていませんが。
望:今回、恭介の“能力”に関しては意図的に登場させなかったんです。今回の場合、超能力を出してしまうと、内容的にそぐわないと思ったので。
イ:原作の読者の間では、”あの関係を続けて欲しい”という声が多かったようですが。
望:その意味では原作のファンにはかなりムゴイ結末かもしれませんね。だけど、逆に荒れが長く続けば、続く程、ひかるが、かわいそうなんじゃないかという気もしますしね。
イ:僕個人としては、原作を読んでいて、この後、ひかるがどうなるんだろう、というのが非常に気になるんですよね。
望:原作を読んでいると、やっぱり、読者の間でも、ひかるがフラれるという予想はついていたハズだと思います。さっきも言ったけどやっぱり、あの三角関係を永久に続ける訳には、いかないですからね。けれども、そこは、時間が解決してくれるという風に捉えました。ここでは描かれませんが、この後も、3人それぞれのドラマが続いてゆくのだということです。
イ:この作品で何か観客にアピールしたい事がありましたら。
望:中高生のファンに対して言うなら、何でこんなムゴイ事をするのかと怒られるかもしれないけど、でも、もう少し経つと皆さんの上にも現実に起こり得るんだよ、と言いたいですね。
イ:今回に限らず、演出面で、映画に影響された事は、何かありますか。
望:映画は良く観ます。まあ、影響されているかどうかは別にして、好きな映画という事でしたら、タルコフスキーの作品かな。
昨今の人気ラブコメマンガの終わり方を紹介。猛烈ネタバレ。
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今回持ってきた参考作品は、いずれもアニメ映画の名作だからという理由もあるが、この作品に関連する要素はある。それらを書き並べてみる。
おまけとして、鬼才・望月智充監督の、これまでの悪行輝かしい経歴について書く。