銀河系を舞台としたスペース・オペラ。ラインハルト・フォン・ローエングラムとヤン・ウェンリーという二人の戦争の天才を中心に、人類社会の統一を巡る攻防や政争、権謀術数の数々を描く。一応SFに分類される作品だが、未知の科学技術やロボットといったSF的要素が重視されておらず、対立する陣営間のイデオロギー、人物像、歴史などを前面に出し、また文体を「後世の歴史家による叙述」とすることで、架空歴史小説のような体裁をとっている。本作はその第1巻にあたる。
田中芳樹……1952年、熊本で生まれる。学習院大学文学部国文学科卒。代表作は『銀河英雄伝説』のほか、『アルスラーン戦記』『創竜伝』などの長編で、そのほか中国南北朝~南宋を舞台とした歴史小説や、『薬師寺涼子の怪奇事件簿』シリーズのようなミステリーも手掛ける。1988年には『銀河英雄伝説』で星雲賞を受賞した。某所での愛称(?)はガイエ。遅筆で有名で、完結に至った作品は非常に少ない。そのためか設定厨と呼ばれることもあるが、個人的にはかなり共感できたりする。やっぱ設定とかを妄想してる時が一番ワクワクするよね?よね?
「宇宙を手に入れる」という野望を胸に秘めたラインハルトと、軍人でありながら軍隊を嫌うヤン。共に天才と称されることになる二人の若者は、アスターテ星域にて相まみえる。戦いは引き分けに終わるも、その後ヤンが難攻不落と名高いイゼルローン要塞を陥落させ、同盟軍はそこを足がかりに、政治的な理由から、帝国への大遠征計画を発動、元帥となったラインハルトに迎撃の命が下る。ラインハルトとヤンの長きにわたる戦いと、銀河系人類社会を巡る歴史の胎動が、今まさに始まろうとしているのだった……。
SFと銘打ってはいるものの、やはり“歴史小説らしさ”が拭えないのが長所であり短所。メタファーやメッセージ性を読み解くのが好きな人には向かないかもしれない。むしろ、そういう小難しいことを考えたり深読みしたりせず、物語を楽しむ、というのがこの作品を読むのに最も適したスタンスじゃないだろうかと思う。また設定厨と呼ばれている割に、ネットでは一部専門知識の希薄さが批判されてたりする。が、その方面に詳しくなければほとんど気にかかる内容ではないので、普通に読む分には気にかかりはしないだろう。加えてよく言われるのが、中高生向けの内容である、ということ。そのためラノベに分類されることもあるが、個人的にはラノベとは異なると思う。作品全体の雰囲気や主題性は、ラノベのそれとは方向性が全く合っていないようには思えないだろうか。一方で、キャラクター作りは評価すべき。個性を小さなエピソードで描写するというのは、なかなか面白い手法だと思った。
前述したように、本作品は架空歴史小説としての色合いが非常に強い。それというのも、本作品は「後世の歴史家」の観点から叙述されているためである。とすれば、架空の歴史書としての見方も可能ではあるまいか。そこで、今回は本作品を「架空の」史実に基づいて書かれた「架空の」史書とみなし、話を進めたいと思う。「妄想乙」「チラシの裏にでも書いとけ」みたいな声が聞こえてきそうだが、こういうのもたまにはいいんじゃないでしょうか?
以降は前述の歴史書云々は関係ありません。
SFっぽい歴史小説なのか、歴史小説っぽいSFなのか。卿らの意見はどうか?
例 平均年齢低くね? 軍事的・科学的にどうなの? などなど御自由に。