「鴎外」の表記に関してはご容赦ください。(ウェブ担当)
「衛生学」の考究を目的に伯林に輸出されるも、「足の親指と二番目の指との間に縄を挟んで歩」き、「人前で鼻糞をほじる国民」となじられ、お辞儀の仕方、物の食べ方などあらゆる作法を「野蛮人」と笑い者にされた一東洋人の復讐の物語。異文化間の衝突を世界的スケールで描いた傑作。西洋人も鼻糞をほじるのか。青年が欧羅巴で果たした「大發見」とは…。
グスタアフ・ヰイド (Gustav Wied) 著「手紙の往復」より
「彼はをりをり何物かを鼻の中より取り出してゐる。さてその取り出した結果を試験する為めに、鼻の穴の中に一ぱい生い茂ってゐる白い毛を戦がせて、彼は空気を通過させて見てゐる」
欧羅巴の白皙人種は鼻糞をほじる。此大發見は最早何人と雖、抹殺することは出来ないであらう。
前の伯林駐剳大日本帝国特命全権公使子爵S.A.閣下よ。僕は謹んで閣下に報告する。欧羅巴人も鼻糞をおじりますよ。
「余等は積極的(ポジチーフ)なる絶対的(アプソルート)なる……医学の未来を求むるものなり此医学は欧米の医学に非ず日本の医学に非ず国際的(インテルナチヲナール)の医学なり此「ニルワーナ」に到達するの道は一あるのみ曰く研究(フォルシュング)是なり(後略)
「日本医学の未来を説く」より
講演「森林太郎氏が履歴の概略」より
書中の裸胡蝶(らこてふ)(!)……オヤオヤ瑣吉ツアンかおえいチヤンなら「思ひしことよ、といふ処だ……ダガ西洋でも千年も二千年も続いた喧嘩が又た此処等で持上ツては大変だ……武チヤンも武チヤンだ「裸但しミユルテの葉にて例の処は隠れて見えず」とか何とか云ツてコンナ人に安心させれば好いに……洋服を着て店を張つて居ればプロも上品で女湯に行ツて居りやア奥様も下品だと思われりやァ仕方が無い欧米のバレツトなんぞはトリコーを着て居るから高尚だと感服するだらう……何んにしろこんな先生には鎌輪ず裸で行けやポエジー(!)
鴎外とSF
鯨統一郎『タイムスリップ森鴎外』(講談社)