山下和美「ムメキクと周平」(『不思議な少年』第6巻, 2009/10/29, 斉藤)

◆作品紹介

『不思議な少年』は、2001年から現在8巻まで刊行されている。平成17年度(第9回)文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査員会推薦作品に選ばれている。マーク・トウェインの同名小説から着想を得たらしい。

『不思議な少年』は、永遠の生を持つ1人の少年が時空を超え、あらゆる人々と出会って人間を見つめ続けて「人間とはなにか」を自問してゆく物語である。かといって、人間を愛しているわけでもなく、憎んでいるわけでもなさそうで、ときには「人間を翻弄している」のかとも思われるが、「人間を救おうとしている」場面も見受けられる。

そういった話が短編として延々と続く形式となっているので、今回は6巻に収録されている『ムメキクと周平』を選んだ。

◆作者紹介

山下和美:1959年8月15日生まれの漫画家。北海道小樽市出身。1980年にデビュー。ほかの主な作品に、第27回(平成15年度)講談社漫画賞一般部門を受賞した『天才柳沢教授の生活』がある。

◆あらすじ(結末含む)

秋田の小さな村に住んでいるムメキクは、幼馴染の周平に恋心を抱いていた。そんなとき「不思議な少年」が現れ、2人で仲良く村で暮らすようにと諭す。ところが周平は東京に出ていき、ムメキクは後を追う。しかしそれは2人にとって、もしくは多くの人にとって最悪の未来の始まりでもあった。

ムメキクの想いは届かず、周平は東京で権力と地位を手に入れのしあがってゆき、一方ムメキクは女性運動に関わってゆくことに。

2人はこのまま平行線なのか。少年は最悪の未来を回避するために何度も周平とムメキクに干渉してゆくが、間に合わず関東大震災が起こる。少年が知っている運命では周平は死んでしまうはずだった。

震災に巻き込まれたムメキクだったが、少年が考えてもいない奇跡によって周平を救い出すことができた。

現代、浅草では結婚した2人の子孫が地元名物のお菓子の店を引き継いでおり、少年はそのお菓子を美味しく食すのだった。

◆論点


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