もりしげ「こいこい7」(2009/06/04, 西山)

著者紹介

美少女が大勢登場する、いわゆる萌え漫画を中心に描く漫画家。代表作は今回取り扱った『こいこい7』と『花右京メイド隊』。いずれも、一見するとハーレム萌え漫画だが、実際に作中を貫いているテーマは、サイボーグやアイデンティティ論、クローン技術の濫用に対する警鐘だったりと、意外に深遠である。

もともと、彼が描いていた漫画は、暗く猟奇的な内容であることが多かった。駆け出しの頃に描いていた『学級占領』シリーズは、幼女強姦、死姦などが多く描かれていた(らしい)が、結婚後、『花右京メイド隊』のような比較的温和な雰囲気の漫画を描くようになった。と、思いきや『こいこい7』でヒロインに死姦させたりするのだから、実際のところは彼が何を考えているのかは誰にも分からない。

これは私見だが、彼の作品を見る限り、父親と主人公の少年が敵対する立場にあることが多いため、彼は父親が嫌いなのではないかと思われる。

あらすじ&私見

実の父親によって、心臓に重核子爆弾を埋め込まれた主人公「田中哲郎」。そして彼を守る(彼の心臓の爆弾が起爆することを防ぐ)6人のサイボーグ美少女「こいこい7」。

田中哲郎、こいこい7と、全人類の脳細胞破壊を目論む主人公の父親「田中翔」との戦いがこの物語の根幹。

読んでない方のためにもう少し詳しく解説。こいこい7の女の子たちは、みな過去に田中博士による作為的な事故によって瀕死状態に追い込まれたが、博士自身によりサイボーグ化され生き返った。サイボーグ化によりそれぞれが超人的な能力を手に入れたが、以前の記憶を失ったり、関係性を失ったり、痛みを無くしたり、自我を喪失したりと、皆「何か」を無くしている。(→「優れた能力は人をひきつけたりするけれど、それは自分の能力でも何でもないから、得るものは多くても失うものも多そうザマス。」 by 屁糞鬘の君)。彼女たちは田中哲郎という、自分たちをサイボーグ化した人間の実の息子を守り、生活を共にする。名目は、田中哲郎の心臓に在る重核子爆弾の起爆阻止であるが、そもそも、なぜ田中博士は実子である哲郎に自ら爆弾を埋め込んでおいて、その起爆を阻止するためにこいこい7を共に生活させるというような事をしたのかという疑問が湧くが、その理由は作品中で呈示されている。ここを理解してもらうためには、この重核子爆弾について詳しく説明しなくてはならない。この爆弾は、爆発すると人間の脳細胞のみを破壊するものである。作中では示されていないが、おそらくそれによって全人類を効率的にサイボーグ化し、人間から「死」という概念を奪おうとしたものだと思われる。田中博士の目指す処は、「成長する機械」による、「死を超越した存在」だった。何故、田中博士は実の息子に重核子爆弾を埋め込んだのか。それは、彼にとって彼の息子は「失望」だったからである。田中博士は、脳細胞死後に、脳に埋め込む「服従回路」によって子供達を親の好きなように改造できるようにするという計画を持っていた。田中博士は、田中哲郎をまさにその子供たちの中心に据えようとしたのではないかと思われる。話を戻すが、何故田中博士が田中哲郎とこいこい7を共に生活させたかというと、それは実際にサイボーグ化された少女達と、事が起きれば他の者たちもサイボーグ化されるというその引き金的存在の田中哲郎の間に密接な関係を築かせることによって、その中で「人間の身体の機械による置き換え」の是非を彼女たちに問おうとしたのだと思われる。(「私自身、この問題を因習めいた世の習俗や倫理観で決めるようなことは出来なくてね。全てを彼女達に委ねて、世に放った。」by 田中博士)。

論点

  1. サイボーグについてどう思うか?出来ればアイデンティティと絡めてお話し下さい。
  2. もし人間に死という概念が無ければ、今の死がある世界と何が違ってくるだろうか?何でもいいですからとにかく想像のつくことをお話し下さい。
  3. 人が人であると言えるためには何が必要なのか?(「私は、感情を共有し、共通の言語を認識できるものであれば人とみなしますわ!」by 屁糞鬘の君)
  4. 一番萌えるキャラは?

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