竹宮惠子(たけみやけいこ)、1950年生まれ。1968年、『りんごの罪』でデビュー。現在の少女漫画の方向性を確立したといわれる「24年組」のけん引役であり、少女漫画界の開拓者。SF、恋愛、音楽、歴史、コメディなど、手がけるジャンルは多彩で、少年誌・青年誌でも活躍。1978年、『地球へ…』で、第9回星雲賞コミック部門賞受賞。1980年、『風と木の詩』『地球へ…』で第25回小学館漫画賞を受賞。他の作品に『ファラオの墓』『変奏曲』『イズァローン伝説』などがある。
現在、京都精華大学マンガ学科の学部長。
1977年から1980年までの間、雑誌「マンガ少年」で連載開始。当初は第1部(第1巻までの話)で完結予定だったが、好評だったため引き続き連載した。本人曰く、『地球へ…』の全てをかこうとしたら、(単行本サイズで)全20巻ぐらいになるのではないか、とのこと。
1980年、連載終了後に劇場版も放映された。
SD体制(特殊政府体制、Superior Dominance)…端的に言えば、大人と子供の社会をわけてしまう体制。
アタラクシア…ジョミーが暮らしていた人工惑星。哲学的に言うと、「心の平穏」。
目覚めの日…14歳の誕生日。
成人検査…目覚めの日に行われる、社会に適合した能力を測定するための検査のようなもの。合格すれば、教育ステーションに送られる。
ミュウ…ミュータントの略?いわゆる超能力者。人類から迫害され続けている種族。感情過多で、非常に繊細。
教育ステーション E-1077…地球へ降り立つためのエリートを育てるべく設置された学校のようなもの。
コンピュータ・テラズNo.5…成人検査を執り行うコンピュータ。
マザー・イライザ…「教育ステーション E-1077」を管理するメインコンピュータ。
グランドマザー…地球を支配するメインコンピュータ。ミュウ抹殺を掲げるが、ミュウ因子を取り除くようなプログラムをされていない。
コンピュータ・テラ…人がグランドマザー以上を求めたときに必要とされるべく造られたコンピュータ。ごく一般の科学者によって造られた。
ジョミー・マーキス・シン…主人公。のちにミュウとして覚醒し、ソルジャーとなる少年。
ソルジャー・ブルー…ジョミーに、「地球へ行って欲しい」という夢を託し、その生涯を終える、ミュウの信頼厚いリーダー。
フィシス…未来を占い、地球のイメージを抱く、ミュウの女神的存在。ブルーに助けられ、それ以来ミュウの仲間。
ハーレイ…ミュウの船の艦長。ブルーと同じく、初代ミュウの一人。
キース・アニアン…コンピュータ「マザー・イライザ」から造られた人間。フィシスの細胞が基盤となっているらしい。心のどこかで、SD体制に疑問を抱いている。
サム・ヒューストン…ジョミーの元クラスメイトであり、キースと友達同士。心優しい青年だが、ジョミーと再会後、精神崩壊してしまう。
セキ・レイ・シロエ…教育ステーションの生徒。何かとキースに対して闘志を燃やす。成人検査に(マザー・イライザに)反発したため反逆児と見なされ、撃ち殺される。
トォニィ…惑星ナスカで、母親の胎内から生まれた、次世代(ナスカチルドレン)のミュウの一人。高い戦闘能力を持ち、人類と全面戦争をする。ジョミーの想いを大切にしている。
ジョナ・マツカ…人類側にいたミュウ。だが本人は、自分がミュウだとは知らない。キースと共に行動することとなる。
地球は環境汚染により、滅びの惑星と化していた。人類は、自分たちが地球を窒息させたのだとして、地球を自己再生させるため、宇宙へと飛び立ち、いつかまた地球へ還れる日を夢見ながら、日々を暮らしていた。
ジョミーは人工惑星アタラクシアに住む少年。目覚めの日を迎え、成人検査によって記憶を植え替えられそうになるが、ソルジャー・ブルーの助けにより、ジョミーはミュウの船へと迎えられる。ブルーは、ジョミーを「潜在的」なミュウとしてずっと見守っており、そのため自身の後継者としてジョミーを選んだのだ。しかし、人の心を読むことのできるミュウを気味悪がるジョミー。ついに感情を爆発させた彼は、エスパー能力に目覚め、宇宙空間へ飛び出してしまう。そして、ジョミーは自分の運命を受け入れることとなる。ブルーはそんなジョミーに「地球へ行って欲しい」と夢を託し、生涯を終える。ミュウも人類と同じく、地球が唯一の安息の地だったのである。そしてミュウたちは、長年ひっそりと暮らしていたアタラクシアからの脱出に成功するのだった。
一方、人類側のエリートとして教育されていたキースは、教育ステーションで下級生のシロエに出会う。シロエによって自身の生まれが判明するが、シロエは成人検査に反発したため反逆児と見なされ、エスパーチェックにかけられる。
そんな中、ミュウの長として名乗るジョミーから、人類側へのメッセージが届く。そのことにより教育ステーションは混乱を来たす。それに乗じてシロエは逃亡。なんとか混乱を鎮めたキースは、マザー・イライザからシロエ追撃の命を下される。シロエのおかげで感情が芽生えたキース。そんなシロエを、彼は涙を零しながら撃ち殺したのだった。
アタラクシア脱出後、ミュウは「ナスカ」という星で暮らすこととなる。そこで、SD体制が始まって以来の自然出産があり、カリナという母親からトォニィが生まれる。若いミュウは、「地球に行かずにここで暮らしたい」と要請。なんとしてでも地球へ向かいたい長老たちとの世代間の溝が深まり、そんな長老たちの怒りを一身に受けてしまったジョミーは、自身の深層心理へと潜っていってしまう。そんな彼を追ったフィシスが、彼の心の中で見たものとは、すでに死んでしまったはずのソルジャー・ブルーだった。
一方、人類側は、ナスカ周辺で起きるパイロットの精神障害事故(サムも被害者となってしまう)の調査のため、キースを派遣する。そこでキースは、ミュウのマツカと出会うが、マツカは自身がミュウだとは全く知らなかった。それ以後、マツカはキースの片腕となってゆく。
ソルジャーが目覚めない状況の中、ナスカに一隻の船が接近していた。慌てふためくミュウたちだったが、ジョミーが深い眠りから覚醒。船の撃墜に成功する。だがその船の中には、キースが乗っていたのだった。
キースの深層心理を追跡すると、フィシスが抱く地球とほとんど同じイメージを持っていることがわかった。このことを知ったフィシスは、キースに脱出出口を無意識に教えてしまう。そして、トォニィがキースへの殺意を燃やし、大爆発を起こしたことをきっかけに、トォニィの一時的な死、死を察知した母親カリナは精神崩壊し死亡、キース逃亡を許してしまうこととなる。ナスカにミュウが潜んでいることがわかったため、グランドマザーの命令もあり、人類側はナスカを崩壊させてしまう。ナスカに残った人々を助けにいくことが出来ず、あまりのショックから、ジョミーは三重苦となってしまうのだった。この事件のあと、ジョミーが感情を表ざたにすることはなくなるが、「自分の運命をかけて、地球へ行く」と言い、やっと本当の意味で「自分の運命」を受け入れることとなる。
人類との全面戦争を宣告するジョミーは、まず、故郷アタラクシアで成人検査を行っているコンピュータ・テラズNo.5を破壊する。これで勢いに乗ったミュウたちは、トォニィらナスカで生まれた子供たち(ナスカチルドレン。高い戦闘能力を持つ)の力を借りて、次々に人類側を撃破してゆく。
そして、ついに地球へ降り立つときがやってきた。キースとジョミーの再会。話し合いだけではミュウを受け入れることは出来ず、だからといってミュウを抹殺してゆくこと自体も、最早最良の策だと思われることはなくなっていた。
そんなとき、グランドマザーが、直々にジョミーと話したいと言ってくる。キースに導かれ、ついに対峙するグランドマザーとジョミー。両者熾烈な戦いを繰り広げるが、ジョミーが倒れてしまう。キースが助けに近寄るが、マザー(機械)の力により、キース(人間)の意志が操られ、ジョミーを撃ち殺してしまうのだった。我に返ったキースは、コンピュータとの隔絶を決意する。
マザーが壊れ、崩壊した地面の下には、更なるコンピュータが眠っていた。その名は「コンピュータ・テラ」。人がマザー以上を求めたときに必要とされるべくコンピュータだったのだ。だが、キースはジョミーの思念と共に「コンピュータ・テラ」の稼動を停止させる。制御されていた地球の自然の力が一気に爆発。ミュウも人間も機械も、地球の持つ自然の力に勝つことは、できなかったのであった。