2006/4/22
レポーター:西本
ロッド・サーリング「ウィラビーに停車」
文春文庫『ミステリーゾーン』収録
J.作者
ロッド・サーリング(1924−1975)
 ニューヨーク州シラキューズの生まれ。若くしてラジオ、テレビ界で活躍し。59年からテレビ・シリーズ「ミステリーゾーン」の企画者、作者、ホスト役(『世にも奇妙な物語』で言うところのタモリ)として大成功を収めた。この番組は六年間続き、この番組が終わった後も映画『五月の太陽』『猿の惑星』などの脚本を執筆。69年『ナイト・ギャラリー』シリーズで一時テレビ界に復帰。(『ナイト・ギャラリー』も『ミステリーゾーン』と同様にサーリングがホスト役となってその話にまつわる絵を見て回る、というコンセプトで作られた)
 作者自身ラヴクラフトが大好きだったようで、ラヴクラフト原作、サーリング脚本という番組を作ったこともある。

K.ミステリーゾーン
 アメリカで放映された「TWILIGHT ZONE」は人気を博し、いまや知らない人はいないスピルバーグ監督にも影響を与えた。(現にミステリーゾーン映画版では彼がじきじきにメガホンを取っているものがある)。しかしシリーズはマンネリ化するもの。このドラマもマンネリ化から逃れることは出来なかった。
 内容はホラーからSF作品まで幅広く、現在活躍するSF作家にも影響を与えた作品は少なくない。「歴史の書き換え」などは時間というつかみどころの無いものを、深く考えた作品になっている。

L.あらすじ
 広告代理店の仕事場で重大なミスをやらかしたガート・ウィリアムズは日頃たまったいらいらをミスレル社長にぶつけて会社を飛び出した。むかむかした気持ちでグランド・セントラル駅で帰りの電車に乗り、しばらくすると車掌がウィラビーという駅名を告げた。しかしこの線にはそんな駅は無い。外を見るとそこは真夏ののどかな村だった。社長は1880年のウィラビーという町だとウィリアムズに説明した。とても美しく、平和な村へ降りようとしたウィリアムズだがその途端現実に引き戻されてしまう。
 家に帰ってもウィリアムズの安息の地はなく、野心家の妻ジェーンがウィリアムズに別れ話を持ちかける。そんな最悪な状況の中会社をやめなくても良いという連絡が入る。しばらくして彼の生活は全てが元通りになる。その日、またしても彼はウィラビーに停車するが、降りるのをためらい逃してしまう。
 状況はどんどん悪くなりガートは仕事のプレッシャーに押しつぶされそうだった。そして、案の定彼はウィラビーを再び訪れる。今度は躊躇わずにその駅に降りる。そこは想像していた通りの素晴らしい場所だった。
 その夜、線路沿いの積雪で男の死体が発見される。どうやら列車から飛び降りたらしい。彼の死体を運んでいったのは「ウィラビー・アンド・サン葬儀社」という葬儀屋だった。

 実際は「ウィラビー・アンド・サン」という葬儀屋も駅名もありません。

M.論点等
・ ウィリアムズが電車に乗り込む駅は「グランド・セントラル駅」でした。これはフィニィのレベル3で主人公が乗り込む駅なんですね。これは偶然なんでしょうか。

・ このような社会生活に疲れた主人公が現実逃避をするという話は良くあるように思います。しかし、どの主人公も完全に現実から逃れられることは出来ません。たいてい機会を無駄にして一生後悔するパターン(フィニィ「レベル3」)、そして今回のように逃避したと思いきや現実にはキチガイになっていたというパターン。うまいこと現実から逃れて幸せな生活を送っている話はあるのでしょうか。