2006/3/24
レポーター:西本
アレステア・レナルズ『啓示空間』 

1、作者について
 著者のアレステア・レナルズについて。1966年イギリスの南ウェールズ生まれ。ニューカースル大学で物理学と天文学を学ぶ。作品中の膨大な物理学的知識はこの経験に裏づけされていると思われる。また、天文学についてはセントアンドリューズ大学で博士号を持っている。

2、あらすじ
 この物語は大きく3つの視点から構成されています。1つ目は物語の主軸を担う主人公的存在ダン・シルベステ。2つ目はインフィニティ号の乗組員イリア・ボリョーワ。3つ目はダンを殺すことを目的としたアナ・クーリです。物語はこの3つの視点が徐々に重なって1つに集約するという手法をとっています。
 ダン・シルベステは考古学者でアマランティン族の遺跡を発掘していた。そしてアマランティン族がケルベロス星に並々ならぬ興味を示したことを発見する。同じ時期インフィニティ号では船長の病気を治すためにダンとダンの父親カルビン(ダンは実はカルビンのクローン)の身柄を拘束する必要があった。そしてイリア達乗組員はダンの身柄を拘束することに成功する。イリアはダンを暗殺する為にインフィニティ号に乗り込む。
 アマランティン族の絶滅の秘密を探るシルベステは「啓示空間(シュラウド)」と呼ばれる空間を訪れる。その啓示空間は莫大な科学技術の知識で溢れているという。そこでシルベステはサンスティーラーと呼ばれるアマランティン族の生き残りに取り付かれる。ケルベロス星に着いたシルベステはその内部構造がインヒビターデバイス(抑制装置)であることを知る。シルベステに取り付いたサンスティーラーは人類をインヒビターデバイスに認識させて、全人類を抹殺させることを計画していた。しかしシルベステは義眼の中のホットダスト(反物質)でそれを防ぐ。
 クーリとイリアはその顛末を見守ってそれを伝えるという役割を与えられています。
 
3、つめこみ
 この作品、私は分からなかったのですが、今までに発表されたSF小説の様々なところにオマージュがあるそうです。
・肉体を改造して分裂しつつ、政治的な抗争を繰り返す→『スキズマトリックス』
・パターンジャグラー→『ソラリスの海』
・数々のアクションや超兵器→スペース・オペラ
・太古から銀河系内に封じられてきた秘密の実体と、『啓示空間』の謎
→これもなにか有名なSF連作に影響を受けているらしいのですが結局分かりませんでした。

4、論点
(1)ストーリーの作り方

 莫大な長さを誇るこのお話ですが、レナルズが得意とする「ストレートなストーリーラインの中に数々の華麗なガジェットを織り込んでいく手法」なのでしょうか?ガジェットというものをしっかり理解していないレポーターにそこらへん解説していただけると非常にありがたいです。
(2)ライトノベル?
 この作品の評価について調べていて、「ライトノベル」であるという評価が少なからずありました。この分厚さと空想の中にも物理学の知識に裏付けられているであろう内容から、レポーターはそうは思わなかったのですが、どうでしょうか。
(3)LCL疑惑?
 本作品に度々登場するスーツと言われる物ですが、これはジェル状のものを肺に入れることで呼吸をしています。これは「新世紀エヴァンゲリオン」から着想を得ているのではないでしょうか?確かな資料は得られませんでしたが、エヴァからヒントを得ているという批評を目にしました。これ以外にも共通点らしきものがあれば、挙げてください。