開催日:2005/10/8
レポーター:大内
課題:ジェームズ・スワロウ『バタフライ・エフェクト』
RESUME
『バタフライエフェクト』
著者 ジェームズ・スワロウ
竹書房文庫
映画『バタフライエフェクト』2004年アメリカ公開
著者略歴
イギリス・ロンドン出身。20歳代前半より、ジャーナリスト、作家としてキャリアをスタートさせる。SF&ファンタジー系の雑誌などにも数多く記事を執筆している。映画版は日本でも2005年春に公開済み、SF研究会メンバー数人で見に行った経緯あり。
あらすじ
幼い頃から度々記憶を失っていたエヴァンは、治療のため日記をつけ始める。13歳の頃、エヴァンは幼なじみのケイリーたちと悪戯をして大事故をひき起こすが、その瞬間も彼の記憶は空白だった。やがてエヴァンは引っ越すことになり、虐待傾向のある父と乱暴な兄トミーと暮らすケイリーに、「迎えにくる」と伝え残す。時が経ち、大学生となったエヴァンは、記憶を失うこともなくなっていた。しかし、昔の日記を見つけた時から、エヴァンの意識に変化が起きる。
なんと昔の日記を読むとその場面に戻れるのだ、その能力で暗い現在を変えようと奮起するがうまくいかない。友達が廃人になったり、幼馴染がアバズレになったり、自分がムショに入ったり・・・でも、がんばれエヴァン!
エヴァン( ´∀`)
好青年だが、子供の頃からタバコをふかし、大学生ではマリファナをたしなみ、バーでギャルをナンパしてお持ち帰りしちゃうような人。ケイリー蜜月シナリオではチャラ男化。幼いころケイリーと離れ離れになったが、大切に思っている。行動の基本はケイリーを救うこと、そのためには手段を選ばない。八方美人な性格から代償を払うことになる。
ケイリー§´∀`リ.
美女、しかしヒロインという役のためキャラは薄い。映画版だと美乳。
娼婦になったり、父から虐待されたり、兄を殺されたり、歴史が変わるたびに迷惑をしている人。
トミー ゚Д゚)
ケイリーの兄。DQN、乱暴、粗暴、最悪のガキ。でも妹思い。ゆがんだ原因は父親の虐待による。
レニー('A`)
飛行機オタク、デブ、いじめられっこ。エヴァンにあこがれている、そのために傷つくこともある、喪男気質、割と共感できるキャラ。
ポイント
実はエンディングが3種類ある。
1. 小説版のラスト ケイリーをおいかける、日記はもうないし、これでハッピーだ!
2. 映画版のラスト ケイリーから完全に去る、これが運命。
3. DVD収録のラスト 母親の胎内でへその緒を首にまきつけて自殺、両親・友人たちは幸福な生涯を送りました。
2が一番、作品のテーマに合致している。3の死を選ぶことはエヴァンの存在があまりに悲しいし、1は都合が良すぎる。2はあきらめのようにも思えるが、女性との距離感を誤ることは間々あること(友人・先輩後輩→恋人 妹→恋人など)、縁がなかった、優しい言葉である。
感想
ここまで何度も歴史改変をやってくれたのはSF作品でも珍しいと思う、SF+恋愛なのでSF研究会内だけでなく、幅広く人にすすめられて良かった。エヴァン障害者シナリオは泣けた、彼女は隣でギシアンしていて、自分は五体不満足な状態。「3人で楽しくやれよ、僕抜きで」がとても共感できた。
過去の変え方によって現在がうまい具合に「あっちを立てれば、こっちが立たず」状態になるのもいい、設定を作りこんだハードSFではないがこういったレベルの作品が今後増えていくといいな。
実際に、作品を読んだ後、昔の日記を読んで見ました。気持ち悪いSSや鬱屈した厨房な内容で頭が痛くなりました、でも過去には戻れませんでした。
意見の提示
さて、過去に戻れたら?ってテーマは手垢のついた陳腐な内容ではある、その手法としてタイムマシンだったり量子うんぬんによる確立がどうのこうのだが、起こす行動としては2種類しかない。利己的行動か利他的行動。
利己的 とにかく自分の利益優先、金・力・権力、欲望に忠実。不幸から逃れたい。
利他的 社会正義のため、不幸な人を助けるため、そのためには自分の命も惜しくはない。
さて、エヴァンはどっちだっただろうか?
('A`)喪男レニーの遍歴('A`)
最初のシナリオ。ひそかに想いを寄せていたケイリーは、イケメンで性格もよいエヴァンに懐いている。友達づきあいしているけど、エヴァンには劣等感を刺激され、トミーにはいじめられる惨めな生活。そして廃人+ヒキコモリ飛行機オタク。
エヴァン・ケイリーの蜜月・エヴァン逮捕シナリオでは登場しなかったが、爆発事故は起きたままなので廃人だったろう。その次ではトミー殺害で逮捕され精神病院で拘束、彼にとっては最悪のシナリオ。
トミー最高のシナリオ、コンプレックスの対象だったエヴァンが、自分の手助けが必要とする「対等、もしくはそれ以下の存在」になり、精神的に成長を遂げる。そのため、ケイリーとも付き合えたし、大学の人気者になって最高の毎日です!
エヴァン精神病院シナリオ、特に登場はしないがケイリーは死ぬしエヴァンは病院行き、たぶんトミーにいじめられるだけの生活で喪男として熟成しただろう。
ラスト、レニーにとっては可もなく不可もなく。ただ、トミーやケイリーがいないため嫉妬や暴力に悩む必要はなかったため、普通の人生を歩めたと思う。でも、「エヴァンの横に居るデブ」であることには変わりはない。とにかくレニーは不遇である、彼はエヴァンやケイリー・トミーといった、チャラい悪友とだらだら付き合わないで、もっと外に目を向けるべきだった。そうすれば、歴史を変えずとも、彼は成長して幸せになれたかもしれない。
本当は、歴史を変えるより、自分がどこで何をするかってことのほうががずっと大切で、大変なことだと、そう思います。だから映画版ラストを支持。
汚い話だが、自分よりかなり優れた,もしくは自分が、優れていると思っている人間が近くに居ると、成長が阻害されるのは確かだと思う。気を使わせたり、使ったり。嫉妬を感じることで、自己嫌悪が激しくなったり、劣等感を感じてしまったり。
うん、それを踏まえたうえで僕はみんなが大好きさー。⊂二二二( ^ω^)二⊃ぶーん