DATA

開催日:2004/12/3
レポーター:廣井
課題:林譲二「エウロバの龍」

RESUME

林譲二「エウロバの龍」(『ウロボロスの波動』(早川書房)収録)

 

1. 著者略歴
林 譲二
1962年北海道夕張郡長沼町生まれ。1995年『三国志最強伝説』でデビュー。《焦熱の怒涛》シリーズや《兵隊元帥欧州戦記》シリーズなどの架空戦記小説で人気を集める。『侵略者の平和』などの科学的アイデアと社会学的文明シミュレーションを融合した作品を書くハードSF作家である。ちなみに僕がこの人の名前を最初に見たのは角川スニーカー文庫.『ジオニックフロント(上)
(下)』です。角川のガンダムものでよく見かける名前です(あまり読んだことはありませんが…
…)。

2. あらすじ
A.D.2149、人類はブラックホール・カーリーに人工降着円盤を建設し、そこから取り出され
たエネルギーを太陽系全域へ転送するシステムを実用化し始めていた。この人工降着円盤建設計
画とほぼ平行して、AADDは火星のテラフォーミングにも着手していたが、地球には「火星に
土着生命体がいないことが証明されるまでテラフォーミングは行うべきではない」という意見も
多く、地球圏との摩擦を避けるためにも地球外生命体の調査が進められていた。木星の衛星エウ
ロバは古くから液体の存在が確認され、生命体の存在が噂されていたためAADDはエウロバの海
へ調査隊を派遣する。生命体の存在確立は低いと思われていたが、調査隊は巨大な龍に追われて
いるとの通信を最後に行方不明となる。AADDは直ちに潜水艇コバンザメで黒川ら3名を追加
調査隊として送るが、そのコバンザメも巨大生物に飲み込まれてしまう。しかし、巨大生物だと
思っていた物体を調べてみるとそれは、熱源に近寄ってきて巨大コロニーを形成する微生物であ
ることが判明し、冷却剤を放出することで脱出。ソードフィソシュも救出し、調査隊の皆さんは
無事帰還するのでした。

3. 用語
・ 人工降着円盤
ブラックホールのような強い重力をもった天体に落ちていくガスなどの物質は、真っ直ぐでは
なくその天体を中心に渦を描きながらゆっくり落下していく。この現象により形成される土星の
輪のようなものが降着円盤である。落下している物質の質量はブラックホールに落ちていくに従
い運動エネルギーや熱エネルギーなどに変換されていき、最終的に黒体放射の電磁波として外部
に放出される。作中の人工降着円盤とは、プラソクホール・カーリーに人工的な降着円盤を作り
だしたものであり、そこから放出される電磁波のエネルギーは今後の全人類のエネルギー需要す
べてを賄えるほど膨大なものであり、レーザーやマイクロ波に変換され太陽系全域に供給される。
・ エウロパ
木星で発見された第6の衛星。大きさは月よりちょっと小さい程度で木星の衛星の中では4番
目ぐらいの大きさ。非常に希薄な酸素の大気を持っていて表面にある氷の層の下には50kmぐら
いの液体の水の層があると推測されている。
・ AADD
人工降着円盤開発事業団。カーリーの発見により提案された人工降着円盤開発計画を具体化す
るため国連のCOSPAD内のGBHRが全太陽系規模で科学者、技術者、経済学者やメディア関係
者などが集まり発展したもの。組織というよりは、なんらかの専門技能をもった小集団の集合体
であり、それぞれのグループが必要に応じて統合,分割などを行い、問題を解決していく。AADD内には権限や役割はあっても、地位や階級は存在しないとのことです。
・ ウエッブ
ウエアラブルコンピューターの略で、多くの宇宙屠住者の方々が着用している。個人レベルで
の情報処理やネットを介したコミュニケーションに使用される。

4. 話題
・ ファーストコンタクトもの
地球外生命体やそれらとの接触は'古くからSFの専売特許のようなものです。12月に入って寒
くなってきた今日このごろ、今まで見てきた宇宙人やエイリアンを思い返してみるのも一興かと。
・ 知性って?
物語の最後で黒川たちはエウロバの生命体と知性にっいて考える(結局答えは出ていないが)。
エウロバの海にいたのは熱源に群がる微生物なのか、それとも外部環境に合わせてフレキシブル
に姿を変える知的生命体なのか?知性の根拠とは?あなたは何を根拠に自分に知性があると思っ
てるんですか?
・ その他感想
つまらないなら、なぜつまらないかもちゃんと言わなきゃダメですよ。

5. 感想
今回の読書会は当初同じくJコレの『太陽の纂奪者』でやろうと考えてたりしました。異性人
さんたちの知性が我々人間と同じ形態をとっているとは限らない。では今の人間の知性と異なっ
た知性とはどういうものか、という事で面白いことが書いてある小説ですが、300ページ近くあ
って長いってことで手元にあったコレをもってきたわけです。しかし、この作品に出てくる生物
に知性があると言われても僕にはしっくりきません。微生物は濃度の違いはあれ海全体に広がっ
てるわけだからコロニーを一固体としてみるだけではなく海を一つの知性体として見れたりもす
るのかな。でもそれだと熱源に働きかけるという知性がある考える理由が無くなってしまうかも。
コロニーはバラバラに分散してまた違うコロニーを形成できるのだからそこに芦職があるとは考
えにくい気もするし、こいつ(ら)に知性はないような。あと僕は知性と意識の違いというやっ
がよく分かってないんで誰か教えてくれないかと思ってたり。


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