開催日:2004/5/28
レポーター:出口
課題:R.A.ハインライン「猿は歌わない」(『失われた遺産 ハインライン傑作集1』 ハヤカワ文庫SF)
RESUME
R・A・ハインライン「猿は歌わない」(原題「Jerry was a man」、ハヤカワ文庫「失われた遺産」収録)
・ あらすじ
物語は人類が火星人から生物の人工造成技術を教わって、すでにその技術を自らのものとしている設定で始まる。作中では、その技術は特別にデザインした愛玩動物を作ったり、労働力用に知能を
(簡単な言葉を話す程度) 発達させた猿を作ることに使われている。ある日、財閥の女主人が夫妻で愛玩動物を買いに育種工場を訪れたのだが、そこで処分の日を待つ白内障の労働猿に同情し、労働猿の処分を全面的に禁止するよう全力を尽くす。裁判で決着をつけるのだが、そのときに無資格弁護士が用いた論理は「労働猿は人間である」というものだった。その論理を裁判官は受け入れ、物語の幕は閉じる。
・ 見所
・火星人が「地球人より火星人の方が優れている」ことは明白としながらも、「労働猿より地球人の方が優れている」ことを明白とはしていない点。(p384-386)
・結論として、ジェリー(労働猿の一頭の名)は人間であるとしている点。(p389)
・ 作者と作品の位置付けについて
1907年ミズーリにて7人兄弟の3男として出生。少年時代の大部分はカンサズ・シティで過ごす。ミズーリ大学へ行き、その後アナポリスの海軍兵学校へ入学し1929年に卒業同時に結婚。しかし、結核のため5年で退役。その後カリフォルニア大学ロサンゼルス校で物理学、数学を学び、カリフォルニア州議員への選挙に参加するが落選(1939年)。そこで雑誌の新人作家コンテストに応募、1939年8月Astounding
Science Fictionに「生命線」("Life Line")として掲載されデビューを果たす。1942年に断筆宣言するも1947年から再び書き始める。同年に妻と離婚、翌年再婚した女性は海軍中尉で8ヶ国語を話す才女だった(彼の作品のヒロインっぽい)。1987年まで作家活動をし、88年他界。特徴としては猫好き、ロケット野郎。その開拓精神の中には植民地主義が垣間見えるとの話もある。個人的には「エロ爺」の印象も付け加えたい。
書かれた年は断筆宣言から抜けた1947年(終戦後であることにも注目?)。これより前の作品として有名なものは「生命線」、「鎮魂歌」、「宇宙の孤児」など。後の作品として有名なものは「人形つかい」、「夏への扉」、「宇宙の戦士」など。
・ 話し合うべき点
「人間」としての境界線(どこから人間?)
というか、ハインラインについて語ろう。