DATA

開催日:2003/9/26
レポーター:向井
課題:グレッグ・イーガン「チェルノブイリの聖母」(『しあわせの理由』早川文庫)

RESUME

◇1概要
行方不明になったイコンを捜すように依頼された探偵が最新のメカを駆使し007ばりの活躍を見せ…る場面も無く行ったり来たり。地味な活動、違法な行動を取り、パンチして自分も怪我してしまうが最後には目的を達成できたのだがこの主人公自身にこれといった才能とかは見出せない。SFではなく普通の探偵もの、ハードボイルドものといった感じではあるが、やはりそういった類の小説にある面白さとかでは無く別の面を描こうとしていると解釈したい。そういった点でやはりこの文章はSFであると言えると思う。

◇2主な登場人物
・ファブリージョ…主人公。探偵。
・マシーニ…依頼主。放置。
・ディアンジェリス…クーリエ。死ぬ。
・アントン…死ぬ。
・少年…アントンの弟。自殺する。

◇3ポイント
(1)歴史も宗教も知らない、理性を信条にしていた男がイコンを捜す間に心変わりしかかって、数十億リラより大事なものを見つけた……訳ではないが一つの転換期を見つけかけたようである。P428の解説文参照。
(2)私は、解説の坂村教授が「思わずニヤッとさせられる」と書いていたので興味を持ったわけで、微小球の使用、バグの潜入などがそれに当たると思う。でも全部違法。ユビキタスをテーマにした話、とは言いにくい。観光案内や外国語のガイドをするノートパッド、ID付いたタクシーはさして珍しくは感じられない。個人的にはスプレーしてロゴを印刷できる辺りがボンドっぽい感じ。でもやっぱり犯罪。うpされてるのを落として焼きつけてる辺りが(rya。

◇一押しの一行
「理解不能な過去の廃墟と、想像不能な未来の前兆のあいだの道を選んで。」
「どんな値がついても、驚かないように」<〔「どんな絵がついても、驚かないように」〕

◇一言
早くも秋学期が始まり10月に入ろうとしておりますが皆さんいかがお過ごしでしょうか?準備期間の関係でこれをセレクトしましたが早めに終わったら三田祭の話でもしようかと思っております。

COMMENTS

上記にもあるとおり、秋学期始まって直後であり、準備期間(読む時間)の不足、今後についての打ち合わせの必要性などから、「ほとんどの人間が所持している」「内容は軽目」である事を主眼においてこれを選んだが、まさかこれほどとは・・・。「あまり面白くない」「どちらでもない」という人が半数を超えてしまった。あとがきに「打率90%、20%はホームランだ」とあるが、どうもこれは「とりあえず右方向に打って二塁ランナーを三塁には進めた」ような感じである。
今回はこれを選んだ理由があったとはいえ、前回から引き続き、「これは良かった」というより「どうなんでしょう」という作品を無意識的に選んでしまったようだ。次回は個性溢れるメンバーみんなが「良かった」と思える作品を選びたいところではあるが、今年は人数が多いのでこれが最後になるかもしれない。少し後悔・・・。
大澤先輩に教わった事だが、パソコンのアイコン(icon)はこの「イコン」が語源である。これが念頭にあるともっと奥行きのある小説に感じられるであろう。
 来るべき「ユビキタス社会」に期待を抱きつつ、CEATECJAPAN2003に向かうレポーターであった。「湯ビキタス」などと変換する現在のPCも過去の笑い話になる日も近い?

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