開催日:2003/5/22
レポーター:向井
課題:青木和「死人魚」
RESUME
○あらすじ
六十近い男が山で誰かに向かって語り始める。
二十歳の時、友人から山登りに誘われたが病気で来られないと言われ、一人で行くが霧で迷ってしまう。拠点の乙見村に向かうがバラックで12,3の赤ん坊を背負った少女に襲われる。村の人殻は無視される。その後堂守に助けられ、何度もこの世界から脱出しようとする。最後は時間の繰り返しの切れ目に抜け出す。
○ポイント
・この世界は何なのか/乙見であって乙見でない、淀み。繰り返される地獄。
・少女は何者なのか/火をつけられ、村八分。赤子拾う。恨みを晴らそうとする。
・死人魚は何なのか/赤子の返却を要求する。半漁人。皮膚病。
・堂守は何者か/説明役。お世話係。乙見の世界を理解し、自覚アリ。
・その他お気づきになられた点がございましたら何なりと。
○その他の主な作品について
「彼女の海岸線」(大塚英志)・・・「おじちゃんがほんまもんの耳&しっぽ美少女ものを読ましちゃる」という思いで書かれた作品。文章中にも「エヴァンゲリオン」「ATフィールド」「ギャルゲー」などの意図的な単語が。
「アンドイド殺し」(二階堂黎人)・・・Rの冠詞の付くアンドロイドが殺(壊?)される。しかも現場は密室殺人だった…のかな。文化女中機の名前が王道的な感じ。前半の文の意味が見出せませんでした。トリックは…、話のオチは○○です(ネタバレ防止)。「この結末を決して他人に言わないで下さい」みたいな感じ。SFミステリって何だろう?
「朋恵の夢想時間」(梶尾真治)・・・少女漫画の読みきりを思い出させる作り。綺麗な終わり方。SF小説というよりSFを使った小説、みたいな感じ。TVKをご覧の方は「とうかいどうメガネコンタクト」のCMを思い出してください。
○一言・・・短編でしかもセリフが少ないので難しい。あえて選ぶなら
「私が見たのは、あの子が望んだままの形のものですから。」
が妥当かな。
○作者:青木和(あおきかず)
1961年12月27日生まれ。関西学院大学文学部卒業。2000年、「イミューン」にて第1回日本SF新人賞佳作入選。
『イミューン 僕たちの敵』・『大神亮平奇象観測ファイル 憑融』・『大神亮平奇象観測ファイル 忌神』
COMMENTS
この作品を選んだ理由はこの作品が掲載されている短編集からどれが読書会に適しているだろうか、と考えて結果であった。これが一番無難だと考えたのだ。だがこれほどとは・・・。
他の短編を選ぶと話が特定の方向に進みすぎるんじゃないか、と思い回避した事に関しては公開はすまい。だが、でる。
まあ、「SFっぽくない」という意見は考えていたが、話が盛り上るにつれ、「短編とはいえもっと内容を濃くしたほうが面白くなったではないか」「よくある話でありそれ以上でもそれ以下でもない」などの意見が飛び出した。新入生が徐々に自分の毒を出し始めたのを見て今年の部員はなかなか・・・、と思った読書会だった。