DATA

開催日:2003/5/18
レポーター:矢守
課題:島本和彦『霊界トトカルチョ』

CRITICISM

1、作品解説 
一九九一年からパソコン情報誌『アスキー』で連載されていた一話完結の読みきりSF漫画シリーズ。連載時は『ワンダービット』という作品名だった。あとがきで作者もいっているが、決まった方向性も無くさまざまなスタイルの作品が収録されている。読みきりなので毎回違うキャラが出てくるが狂言回しとして首藤レイという科学者が毎回主役またはチョイ役で出演している。

2、読んでみて
ほとんど統一感の無いように見えるがいくつかのジャンルに分かれている。ジャンル別に紹介していくと、
A 物体が自由意志を持つ話
食べ物を大事にしない周囲に腹を立てて首藤レイが食べ物に人間の好き嫌いを判別できるようにする電波をだすマシンを発明するが自分が唯一嫌いなナス以外の食べ物には嫌われてしまうという「I LOVE ナス」、人間以上に気が利く意志を持つ家電製品が登場する「ポットちゃんとボク」人間になろうとするロボットMJ3(まんまマイケル・ジャクソンのパクリ)が巻き起こす大騒動を描いた「人型ロボットMJ3号」の三作。このジャンルは絵本風のほんわかしたタッチの絵で描かれているので内容的には食糧危機とか人間に反抗するロボットなど重いテーマのはずなのだが笑いながら読める。
B 特撮物へのオマージュ
作者の趣味全開のジャンル。なぜか理由はわからないが突然現れた環境怪獣アスキング、立ち向かうのは巨大化光線で巨大化した女子プロレスの選手!? というウルトラマン風の作品「環境怪獣アスキング現る! 東京大パニック」「死闘! 東京(以下略)」(タイトルも怪獣物でよくある感じ〈例…帰マン第二九話「二大怪獣の恐怖! 東京大パニック」〉になっている)の前後編とまんまノリが仮面ラ○ダーな改造人間たちが自分たちの戦う理由=正義に疑問を抱くという「これが正義だ!」。どちらもソレ系のお約束を踏まえつつも微妙にずらしてあって元ネタとのギャップが笑える。
C もしも〜だったら話
自分の人生をタネに天使とご先祖様の間で賭博が行われていたとしたら…というある意味ゾッとする「霊界トトカルチョ」、拾った魔法のランプの魔神に願い事を一万個にして、といったらOKされてしまったという「魔法のランプ」。自分の部屋にパラレルワールドの入り口ができてその世界の自分と張り合う「敵に勝つより己に克て!」などSFっぽさは薄いがおもしろい作品群。設定のおもしろさが作品のおもしろさにつながっている。

3、まとめ
この作者の作品全般にいえることなのだが登場人物がまじめにやっているのにギャグになってしまうギャップがおかしさを倍増させている。さらに登場人物が全員あきれるほど前向きではた迷惑なほどアツイ熱血野郎というのもこの作者の特徴だろう。さすがGガンのキャラ設定をしたほどの人である。この点は主人公が屈折していてウジウジしてれば人気がでると勘違いしているアニメ、例えば種とか種とか種とかの脚本を書いている人にも見習ってほしいですね。

おまけ
島本作品に興味がある人は…マンガ『燃えよペン』『吼えよペン』『炎の転校生』『逆境ナイン』、アニメ『疾風!アイアンリーガー』『機動武闘伝Gガンダム』(ともにキャラデザとして参加)がおすすめです。探してみてください。



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